その111

文字数 703文字

閑散とした地域に入り、何回か車を止め、車の動きを見て後ろの車をやり過ごす。

地元ナンバーしかほとんど見当たらなくなり、ちょっと考えすぎたかな…と、ようやく思い直せた。

そして改めて出発をしようとして、フロントガラスのフンを思い出した。

少し戻ったところに、大きなガソリンスタンドがあったことを思い出した。

ちょっと多めに時間を使ってしまったので、念の為進行方向にもスタンドがあるか確認した。

しかしこの先には次の大きな街までないことが分かったので、タイムロスだが少し戻ることにした。

汚れているまま運転するのは嫌だし、かといって、自分で拭くのも嫌だ。

こんな時、カーウォッシャーに限る。

それに今まで体験したことがないからちょっと興味があった。
戻ったところのスタンドは暇そうで、空いていた。

数百円で気分良くなるなら構わない。
さっそくその場所に車を入れた。

スタンドのスタッフが走ってきて、コースをセッティングしてくれた。

かけている間は勝手に洗ってくれるので、トイレを済ませ、中の自販機で缶コーヒーを買った。

それでもまだ終わらない。

周りを見回すと、東京から1時間くらいの距離だが、このあたりは本当に高い建物がない地域だ。

なぜアクアラインに、ついてに電車を通さなかったのだろうと考えてしまう。

電車も通っているなら、このあたりに住むのも悪くない気もする。

みんなそんなにこぞってあんなに物価や家賃が高いところに住まずにここから通えたら楽だろうなとも思いつつも、直通線がないから電車で通うには流石に遠回りだし、しかも台風なんかにものすごく弱く、ニュースでよく止まってしまうと聞く。

そのへんがなかなか不便な原因なのかもしれないと思った。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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