その117

文字数 499文字

とかを考えていたら、いい感じに太陽の光が弱まってきた。

少し遠くに海が見えて、太陽までの距離が近いからか輝いて見える。
さっきまでの緊張感がどこかへと消えて行くのがわかる。

その瞬間は外で迎えたくなり、スマホでカメラのアプリを立ち上げる。

元来写真の趣味なんかないから、カメラなんて持っていない。

それに、今はスマホに付いているカメラの性能で十分な写真が取れるし、アプリを使えば多少の加工もできる。

だからわざわざ何万か出してカメラを買う気にはなれない。

サンセットまでの時間を、ビデオモードにして撮る。
太陽が沈むにつれて、まわりの風景を刻一刻と違う表情で表してくれる。

ボンネットの上に、スマホを置いて深呼吸をする。
太陽からの今日最後のエネルギーが僕にだけ届けてくれた気がした。

そして今日の太陽は、全て見えなくなった。

余韻に浸っていると、少し寒くなってきた。
上に軽く羽織るものを持ってきたんだった。

トランクの荷物の中に。
運転席のトランクを開けるノブを引く。

カチャッという音が聞こえた。
トランクも開いたので、ドアを閉めようと思ったタイミングで急に風が吹いた。

近くの枯れ葉がその風で舞い込む。

「もう・・・、何だよ。」
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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