ACT43

文字数 656文字

浮かび上がってきた構図は、せっかく意気揚々とした中で落胆する内容だった。

「これで殺人だとなれば、江尻に限らず随分と容疑者が膨れ上がりますね。」
「ええ、すでにかなりの人数に話を聞きに行っています。」

既に聞き込みを済ませているが再度確認作業に入るという。

浅霧を毛嫌いしている管理官の要望で、江尻と本間以外の線も改めて当たることが決定した。

しかし、浅霧は江尻と本間の職務内容が同じだということに注目していた。

なぜなら、その組み合わせがサトウ商事でも見られる。

江尻の退職後のポジションに阪本が入っている。

そして、ITスキルは三人とも評価が高い事も分かってきた。
それは一体何を意味するのだろうか。

江尻に言われたのでアリバイ確認をして分かったが、たしかにその日江尻は入店しているのだが、他の日と比べかなり早い時間に退店している。

そして、興味深いことにその事件当日、何故か他の2人ともがHIROBAをいつもより早く帰ったり、来なかったりしている。

「班長、どう思います?」
と、浅霧が聞いた。

「偏った見方はしたくないが、どうせそう忠告しても浅霧はそこが気になるんだろ?」
だったら気が済むまで深堀りすればいい。と、管理官に聞こえないようにボソボソと言ってどこかへと行ってしまった。

浅霧が班長に意見を聞く時は、心の中で何か見据えているときが多い。

そして、一応建前上、班長にお伺いを立てるのだ。

結城は、三井に
「これから、浅霧さんが無茶振りしてくるだろうから、準備しておくといいよ。」
そういうと、三井は直ぐにいつでも出られる準備を始めた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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