その110

文字数 622文字

そんな事をしている時、空からフンが落ちてきて、フロントガラスを汚す。

まったくもってついてない。

仕方がない、降りたらどこかで洗おう、気持ちが悪いから。

そこまで来て、降りる予定のICまで来たので、指示を出して降りた。

数台同じところで降りる。

その中に、さっきから後ろを走っていた白い車の姿もあった。

あいつかもしれないし、あいつじゃないかもしれない。
せっかくの楽しい気分のはずが、何でもかんでも疑心暗鬼で、イライラする。

さっき付けられたフンとともに、さっぱりしたい。

まあ、本来近くに観光スポットがあるので、ここで降りる人がいるのは、当たり前なのだ。

そこに行きたければ、そこを曲がらなければならないが、僕の目的地は違うのでまっすぐ行こうと思っている。

ここで高速を降りたのなら、大抵の場合そのスポットが要因なはず。
僕の後を追ってきたら、少し警戒しなければならない。

そんなことを思っていたら段々腹が立ってきた。
なんでこんなスパイごっこのような事をしなければならないのだ。

あの変な人に絡まれるようなことなんてしてないというのに。
白い車は、僕の思い過ごしか、人気スポットの方に進んでいった。

良かった。
これで見えていた乗用車は全部どこかへと行った。

あいつと思われる尾行は付いてこない。

どこかでホッとしている。

いやまて・・・安心してはいけない。
念の為、もう少し周囲を確認しよう。

そう思いながら、カーナビで支持してきた方角を無視して、曲がれそうな角を何箇所か曲がった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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