Disclose10

文字数 501文字

それぞれ別のタイミングを見計らって、連絡先を交換しそこから彼の計画を実行に移したという。

「昔見たドラマかアニメにあったやつ思い出したんだ。」
と、自慢気に答える。

その内容は、
「自分がこそがボードゲームの達人だというA・Bという強者相手に、Cが2人同時に対戦してみせますよ。」
という、コメディ的要素の話。

2人同時と言いながら、その間に入っているCという男は、Aが指した手をBに指し、Bがそれに対抗して指したものをAに同じようにするというインチキ。

つまりCは、どちらとも勝負をしていないのだ。

「だからね、僕は何もしていない。彼らがそれぞれ僕の変わりにアイツらをやっつけてくれることになったんですよ。」

つまりは、交換殺人を知らないうちに仲介されて実行したのだ。

お互い、気に入らない相手が自分の知らないところで死んでくれたらアリバイがそれぞれあっていいだろうという計画。

だが、本人たちが知らなかったのは、アリバイのための日時を江尻がコントロールして話を進めていたことだ。

だから結局、本人たちの預かり知らないところで、同日に決行された。


ただ、その同日に実行されたということは、多分今も知らないだろうと江尻は言った。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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