ＡＣＴ７５

そう言えば、窓際の男性客はここに浅霧と二人で来ると、時折見かける人だ。

いればいつも読書をしていて、集中している。

大体窓際に座っていて、時々コーヒーのおかわりを頼み、外の喫煙所でタバコを吸っているのを見かけたときもある。

有閑な生活をしているのがにじみ出てくるタイプの人で、結城が住む世界線にはいないタイプだ。

二人のオーダーが決まると、
「浅霧と結城くんは、いつものでいいよね。」
と言ってマスターが奥に行こうとすると、浅霧が
「いや、今日はホットにしてくれないか。」
と言った。

「了解。」
そう言いながらも、珍しいという顔をしながら奥へと引っ込んでいった。

オーダーが済み、和んできているのに島田と三井が話そうとしないのは、一般人がいるからだったが、窓際の人がいてもいつもこのくらいの距離が離れた席に座っているときは、時々名前や特定されそうなことを伏せて話していることを経験している結城から話を切り出した。

「浅霧さん、もちろんボスの意見に賛成だと思ってないですよね。」