ACT15
文字数 769文字
雑居ビル の2階に上がりノックをした。
古いビルだから、最新式な設備なんてなく、インターフォンを押そうが、ノックしようがいつもドアまでやってくる。
今日も自称助手の黒栖(くろす)が、ドアをそっとあけて顔だけ出してきた。
黒栖名字なのか、名前なのかも知らない。
年齡不詳だし、性別も不詳だ。
この前、数年ぶりの再会だったけど、御幸ですらしっかりと年齡が上がってきているのが見て取れるというのに、この人だけは時間が止まっているのかというくらい変わらない。
ただ、興味がないからいちいち聞くことはない。
今日来たことも伝わっているようで、
「どうぞ。」
と言って、ソファーに勧めてくれた。
柑橘系の香りが部屋いっぱいに拡がっている。
ほのかに香る程度で、全然嫌じゃない。
「ライムはもう少しで戻るよ。コーヒーでいいでしょ?」
と言って、返事も聞かないうちに浅霧の目の前に置いて、隣にちょこんと座った。
椅子らしいものは、御幸のディスクの椅子とこの応接用のソファー位で、他にはない。
しかも、応接用のハズなのに、どういうわけか対面にあるはずの、主側の席が無い。
そう言えば、昔はあったような気がするが、でも近い記憶のなかでは、この長椅子タイプしかない。
この前来た時は、御幸が戻ってもそこに座らないのを知っていたから、ディスクの椅子を陣取っていた。
その時はその通りになり、そのまま近くのバーへと移動した。
そして今日は、そこに御幸が座ると知っているから、もうここにスタンバイしているのだろう。
想像通り、数分後ここの主人である御幸来夢が戻ってきた。
「やあ。」
そういうと、いるべきところに収まる。
「めずらしいな、お呼び出し。」
1杯目のコーヒーの最後の一口を流し込んでそう答える。
どういうわけか、御幸はどこか楽げに
「君が、楽しそうにあるところにいるのを見たって聞いてね。」
と、言ってきた。
古いビルだから、最新式な設備なんてなく、インターフォンを押そうが、ノックしようがいつもドアまでやってくる。
今日も自称助手の黒栖(くろす)が、ドアをそっとあけて顔だけ出してきた。
黒栖名字なのか、名前なのかも知らない。
年齡不詳だし、性別も不詳だ。
この前、数年ぶりの再会だったけど、御幸ですらしっかりと年齡が上がってきているのが見て取れるというのに、この人だけは時間が止まっているのかというくらい変わらない。
ただ、興味がないからいちいち聞くことはない。
今日来たことも伝わっているようで、
「どうぞ。」
と言って、ソファーに勧めてくれた。
柑橘系の香りが部屋いっぱいに拡がっている。
ほのかに香る程度で、全然嫌じゃない。
「ライムはもう少しで戻るよ。コーヒーでいいでしょ?」
と言って、返事も聞かないうちに浅霧の目の前に置いて、隣にちょこんと座った。
椅子らしいものは、御幸のディスクの椅子とこの応接用のソファー位で、他にはない。
しかも、応接用のハズなのに、どういうわけか対面にあるはずの、主側の席が無い。
そう言えば、昔はあったような気がするが、でも近い記憶のなかでは、この長椅子タイプしかない。
この前来た時は、御幸が戻ってもそこに座らないのを知っていたから、ディスクの椅子を陣取っていた。
その時はその通りになり、そのまま近くのバーへと移動した。
そして今日は、そこに御幸が座ると知っているから、もうここにスタンバイしているのだろう。
想像通り、数分後ここの主人である御幸来夢が戻ってきた。
「やあ。」
そういうと、いるべきところに収まる。
「めずらしいな、お呼び出し。」
1杯目のコーヒーの最後の一口を流し込んでそう答える。
どういうわけか、御幸はどこか楽げに
「君が、楽しそうにあるところにいるのを見たって聞いてね。」
と、言ってきた。