その107
文字数 507文字
あまりに驚いて。
「・・・。」
言葉に出せないが、ここは様子を見よう。
ははは、と我ながら乾いた笑いでごまかしながら、歩く。
しかし、何も言わずに笑顔なのか何なのかわからない、一見柔和に見える顔で、僕の顔を見つめている。
何も発せずに。
歩幅を合わせながら。
これ以上、ここで話したくない。
「まあ、よくわかりませんが、僕のような顔なんてどこにでもいますよ。」
そう少し語気を強めて言い放ち、僕はこの後何か言われても立ち止まらないと決め、その場から更に足早に立ち去ろうとしたその時。
「あの晩は、災難でしたね。」
「・・・。」
あの晩?
なんのことを言っているんだ?
さっきと同じくらいの真顔で僕は振り返る。
御幸はこっちをみてニヤついている。
なんだか段々この男の存在がムカついてきた。
「あの女性は、きちんと謝ってくれたんですか?」
「あの晩って、なんですか?あなたとはもう話したくない。僕に関わらないでください。」
その言葉に対してなにか言ってくると思ったが、予想に反して、彼は何も言わず、それ以上はついてくることなく、僕を見送った。
なんとなくまだ僕の背中を見ているのだけはわかった。
心をほんの少しでも、許そうとした僕は馬鹿だ。
あいつは、危険だ。
「・・・。」
言葉に出せないが、ここは様子を見よう。
ははは、と我ながら乾いた笑いでごまかしながら、歩く。
しかし、何も言わずに笑顔なのか何なのかわからない、一見柔和に見える顔で、僕の顔を見つめている。
何も発せずに。
歩幅を合わせながら。
これ以上、ここで話したくない。
「まあ、よくわかりませんが、僕のような顔なんてどこにでもいますよ。」
そう少し語気を強めて言い放ち、僕はこの後何か言われても立ち止まらないと決め、その場から更に足早に立ち去ろうとしたその時。
「あの晩は、災難でしたね。」
「・・・。」
あの晩?
なんのことを言っているんだ?
さっきと同じくらいの真顔で僕は振り返る。
御幸はこっちをみてニヤついている。
なんだか段々この男の存在がムカついてきた。
「あの女性は、きちんと謝ってくれたんですか?」
「あの晩って、なんですか?あなたとはもう話したくない。僕に関わらないでください。」
その言葉に対してなにか言ってくると思ったが、予想に反して、彼は何も言わず、それ以上はついてくることなく、僕を見送った。
なんとなくまだ僕の背中を見ているのだけはわかった。
心をほんの少しでも、許そうとした僕は馬鹿だ。
あいつは、危険だ。