その97

文字数 427文字

ちらっと反射したものがあった。

紙のようなもの・・・、あ、さっきのコンビニでのレシートか。

ゴミと一緒に捨てたつもりが、それだけをどうやらねじ込んでしまっていたようだ。

ついそういうことをしてしまう。
手を伸ばして、拾い上げる。

それ以外は、多分大丈夫だろう。
そう思いながらも、念の為明かりをスライドさせていく。

ゴミ一つ落ちてない。
当たり前か、ここは病室だ。
清潔じゃない病院なんて、誰も入院したくないだろう。

立ち上がると、機械の後ろににコンセントが見えた。
普通のコンセントと、赤いコンセント。

聞いたことがある。
確か、赤い方は停電しても非常電源につながる方のはずだ。

中西の生命を維持している装置も、例外なくここに通電していた。

ふと、このコンセントを抜いたらさぞかし胸がすっとするだろうな。と恐ろしいことが頭をよぎった。

手を伸ばしかけたが、この先こいつのために刑務所の生活を送るのが馬鹿らしいので、思いとどまり視界に入らないようにその機会でコンセントを視界から遮った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み