Disclose44

文字数 494文字

甫はそれでも順調に事が進んだと喜んでいた。

その姿の一部を浅霧や御幸に目撃されていたのだが、聴取を受けた晩、そのことを結果に報告すると、

「お兄ちゃん。私思うんだけど・・・。」
と切り出したらしい。

結果が言うには、自分の望みは達成できたのに、自分の望みは達成されていない事は不公平ではないか・・・、ということだった。

確かに一理ある。

そうだな、たしかに不公平だな。
と、甫も思ったそうだ。

そしてそこに畳み掛けるように結果が言った。

「それにさ、もしこのままあいつ死ななかったらあいつが文句言って来るんじゃない?」

と言い出した。

阪本のことだ。阪本にはどういうわけかこれだけ日数が経過しているというのに、中西の件が伝わっていないようだった。

当時、事故から事件に昇格した際に中西の行動を知っていた人物が犯人の可能性があると考えられたため、

そこは、事件性が疑われているので警察も中西の状態を曖昧に伝えていた。

ああ、たしかにそうかも知れない。

「それとさ、もうひとりのやつに失敗したことを償ってもらおうよ。」

そういう話がどんどんと2人の中で進められていった。
それで、計画されたのが中西としくじった本間の殺害だった
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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