Discloseー41

文字数 393文字

甫の父親じゃなかったようだ。
「江尻さん?」
と、ドアが開いたタイミングで運転手が聞いてきた。

「はい。」
と言って、甫は乗り込んだ。

自宅のある街を告げると、タクシーは静かに走り出した。

雨は最初お頃より小降りになっているようだ。

家がわかりにくいからと言う理由で
「一旦駅方面へと品川方面へと向かってもらえますか。」
指示をだしたので、タクシーは静かに走り出す。

暫く無言の時間がすぎる。
雨のせいなのか、時間も時間で行き交う車も少ない。

だいぶ大通りを道なりに進んで行く。

次に発せられた言葉はタクシーに乗ってから15分も過ぎた頃だった。

「次を右に曲がってください。」

ところがそこでトラブルが起きた。
片側一車線の道。

右折レーンに則り、方向指示の合図を出しながら。

ところが、

「あ、そっちじゃない。僕、信号なんて言ってないじゃないですか!」

どうやら、信号の少し手前に信号がない右折できる場所があったようなのだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み