ACT70

文字数 402文字

本間がその晩、HIROBAに来なかったことで、初めてその日一日誰も本間を見ていないことがわかった。

前日、クライアント先が少し遠いこともあり、直行することになっていたらしい。

メールで今から向かいます、とカブトが会社で配布している端末から連絡があり、誰も疑いを持たずにいたようだ。

HIROBAに現れなかった直後から張り込みが開始されたが、本間の住んでいるマンションの明かりはその日つくことはなく、翌日日が登ってから、管理会社経由で了解を得て部屋へと捜査が入った。

木曜に「HIROBA」を利用していたことはわかっているが、彼にはまだ捜査の対象となっておらず見張りがいなかったのもあり、足取りがつかめない。

これから周辺への聞き込みを始めることになりそうだが、部屋に入った捜査員によると、朝使っただろう皿とカップがシンクに置いたままになっていたらしい。

つまりその夜にはもうこの部屋に戻ってきた気配がなかったそうだ。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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