ACT46

文字数 516文字

一方、浅霧は作戦を更に2人に伝えていた。

「さて、君たち。まず、俺と一緒に中に入る。そしたら、三井さんは許可取りしてきて。君は、病室知ってる?」
と、どんどんと指示されていく。

島田は懐かしさを感じながら、
「はい、先日一度来ておりますので。」
と、期待に応える様に返事をする。

そんなふうに思っているとも知らず、浅霧はどんどんと指示を出す。

「そしたら、少し離れて歩くから案内して。
歩くのは、いつもよりほんのちょっとゆっくりに。三井さんは、許可取りが終わったら、気配を消して入り口で待機。2人揃ってからは、車に戻り一旦車で駐車場から出る。
それを15分ごとにやって。」

突拍子もない指示。
「つまり、出入りをしろということですね。」

「そう。中に入ったら、気配を消す。車で出ていく。また15分後に戻ったら、気配を消す。」

「いつまででしょうか?」
と、島田が心配そうに聞き返す。

「いいって言うまで。あ。君は時々変わってあげてね、あれと。」
と、親指で結城を指す。

島田は、うんと頷く。
なんだかんだと、優しい。

「三井さんはずっと同じようにし続けてね。
あ、もし関係者を見かけたとしても、動じずに言われたことだけやって。」

そう言うと、先に2人に降りるように指示した。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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