Disclose12

文字数 686文字

「だから、本間と会うことにしたんだよ。」

それで、ちゃんと始末してくれるように話に言ったところで彼が江尻に反撃をしてこようとしたから、

「落ち着いてもらうために、ちょっと睡眠薬を飲んでもらったんですよ。」

としれっと言い放った。

そして、美しい夜景でも見つめてもらって、動けなくなった中西の始末をするためのプランを伝えようとしたところ、どこからともなく警察が出てきて、自分たちを取り囲み、現在に至ったというわけだった。

江尻の長い長い言い訳。

3巡しても筋が通っているようで通っていない話。

ほんの少しあたっているのだろうが、さっき江尻に与えた休憩の合間に浅霧は
「時間つぶしも兼ねて同じ質問、3回目いきましょう。きっと面白いことがおきますよ。」
と言ったことが、ほぼ全捜査員が目の辺りにした。

3回目の同じ質問が全て終わったタイミングで、浅霧が
「メガネ、似合ってますね。」
と、事件の筋とは一見関係ない質問を投げかけた。

すると、さっきまでの饒舌さが一転して
「え?あ。いや・・・。」
と言いよどむ。

間髪入れずに
「メガネ、お好きですか?」
と投げかける。

「え、いや・・・、特に。」
江尻は、どう答えようか探っているようだ。

「そうですか、最近・・・。」
ここで話を止め、首を少しかしげて浅霧は江尻の顔を見ている。

江尻は次の句を待っている、なんて答えようかいくつかの答えを探っているはずだ。

ここで偶然にも、見えない心のなかで、似たような質問を結城と江尻は考えていた。

「他のメガネを見ましたとか聞くんだろう」と。

でも、浅霧はそこからちょっと間を置き、
「家族に、会いましたか?」

と、眼鏡とは全く関係ない話をした。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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