ACT38

文字数 494文字

潜り込ませているやつからの情報の限り、会社ではいつ抜けてもいいような仕事しかしていないように見受けられるらしい。

仕事内容と、ここに見え隠れするスキルとの差異が物語っている。

そういった報告を受けたからこそ、未だにあそこへ通う意味が見いだせないでいた。

そこを見極めるためあの日、江尻と刑事と会った当日接触を図ることにした。

彼の近くに行くことによって、あることに気づけた。

それは、彼がこの件に関わっているという実感を得られた以上の収獲だった。

その事が何につながるかはまだ分からなかったが、面白さと恐ろしさの両方が御幸を襲った。

ここまで来ると、自分ひとりじゃ難しいと感じだした。
だからこそ、浅霧を呼び出したのだ。

浅霧ならおそらく、近々この件にたどり着けるだろう。
それに警察が動いた以上、目立つ行動を避け、サポートに回るに越したことはない。

とにかく、2にも3にも4にもなる前に手を打たなければならない。

その後、形跡を残さないように退出し、彼の終わる時間に「HIROBA」近くまで向かい待機した。

江尻が入店をしたのを確認してさも当たり前のように入店すると、彼はすぐさま反応した。

驚くほど警戒心が強い。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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