その4

文字数 576文字

定期入れ はなんとかかばんの奥に見つけて、流れに沿って改札を通る。

すぐ後ろで改札に誰かが引っかかったような音が聞こえたが、そんな事はよくあるので、人々は僕も含めていちいち気にも止めずにホームへと向かった。

7時台。
家が好きな人の大半が、何処かへと立ち寄ったとしてもより多く帰りを急ぐ時間帯だ。

そういう意味では、雨でも変わらない。

いつもどおりに帰る人、雨のせいで時間をずらした人、様々な理由で今ここで電車を待っているに違いない。

ただホームに人は結構が多いが、自分が乗る進行方向は、混み合う方と反対方向へと進むので、どの時間であっても座れないということは殆どなかった。

いつもの車両から乗り込むと、だいたいいつもの場所があいていたので、いつものように座る。

いつもと違うのは、きちんと朝から天気予報を確認してきた人が、女性中心ではあるものの、おしゃれなレインコートを着ていたり、撥水加工をしっかりしているから、水滴が服の上に乗っているようふくを着て、おしゃれなレインブーツやシューズを履いていいる人が多く乗っていて、僕の座った両隣もそういう服を着ているということぐらいだろう。

最寄り駅までの電車と、今日この後雨だから多分乗るはずのバスを合わせると、帰り着くまで約40分もあるので、僕としては座れないなら運動量が落ちて筋力も学生時代よりはないからなかなかしんどい。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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