ACT24

文字数 666文字

江尻はエンジニアで企画営業も担当しているそうで同日では無かったものの、取引先の帰りに偶然会ったらしい。

揉めていたところを見られていると伝えたところ、ようやく同じ職場だった頃のことをいちいち持ち出して来たので、ちょっと大きな声を出したかもしれないということだった。

どちらもほぼ同じ証言内容だったらしい。

一応念の為その日のアリバイを聞いたところ、森宮の事故の時間については「いつもたいてい同じ有料のレンタルスペースで仕事をしているからそこで聞いてほしい」ということ、中西の事故の時間帯はたいてい家にいるので誰も証明出来ないということで話を切り上げたという。

その後、他の容疑者同様ローラーで容疑者のアリバイを確認中なのだが、似たような事故に見えるこの事件に同じ人物が関わっている事で念のために連続の事件に格上げされたのだった。

容疑者を完全に絞るまでは、うちの班とそれぞれの所轄から、江尻に話を聞いた2組だけで連続殺人・殺人未遂事として扱うことになった。

いつもの通り、僕は相変わらずの浅霧さんのお目付け役にされている。

それも考慮に入れて、前回慣れたはずの島田と組むと思っていたが、ここでもだれかが変な忖度をして、今回は三井警部補と組むことになった。

この若さで警部補ということは、キャリアの人間だ。

どうやら、僕らは安全パイであって、しかも浅霧さんのおかげでもしかすると、検挙実績が上がるからかもしれない。

キャリア風を吹かせない謙虚な感じの女性で、僕はちょっとうれしかった。

でも、朝霧さんはどうでもいいらしい。
江尻の写真をじっくりと眺めていた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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