ACT60

文字数 635文字

まず、メガネは簡単に人の印象を変える道具だ。

特に、普段しているかしてないかで、その人の存在イメージも違う。

髪型もそうだ。

いつも髪を結っている女性が、たまに髪をおろしていると、その人だと気づかない場合もある。

前髪だけでもそうだ。
随分と印象が変わる。

真面目そうに見せることも、オシャレ感を増すことも出来る。

まあ、警察官のほとんどは時間がないし、泊まり込みなんかも発生するから、簡単にセットできる髪型や短髪が好まれる。

浅霧は若干くせ毛だから、なかなか髪を切りに行く時間が無くてもそれなりに見えるのだが。

それをほんの一瞬で両方され、人混みに紛れてしまえば見失うことも多い。

結城からのメールによると、トイレに立ち寄った際に、髪型とご丁寧にネクタイ、まで変わっていたらしい。

結城には、事前に変装しているという情報があったのもあり、捜査でそういう輩を何人も見てきているので、見落とさずに済んだが、三井と島田だったら、もしかすると気づかなかったかもしれない。

今の時期、クールビズという理由で外して歩く人がいるが、違うネクタイをつけるのは少ない。

先日、江尻の会社に付いていった際も、明らかにそのビル内の勤務社と思われる人はつけている人が少なく、江尻もあの日はつけていなかった。

平日、この時間に外歩きをすることが有ることは分かっていて、今日も曜日からすると営業で出たついでなのだろう。

普通なら職場へと戻るだけなら外すだけでいいのに付け替えたというのは、万が一の追跡者を交わす狙いがあるのだ。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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