Disclose20

文字数 724文字

江尻はここまでで一番驚いた顔をしている。

HIROBAに阪本と本間を呼び寄せたのは、ネット上の広告だった。

広告でもCMやチラシとの違いは、関連する事柄が広告としてネットを使うと出てくること。

そういうものを排除する設定をしていても、検索サイトやSNSなどでは全て防げない。

車を買いたいと思って調べれば、関連するのもがバナーとかで表示される。

これを江尻が操作したのだ。
それぞれの会社にいる頃、ネット環境を整備したのが江尻が所属したチームだった。

ネット社会になってセキュリティ強化のために色んな方法で情報がもれないようにと会社内でもルールを設けられているが、まだまだ守れない人間も多い。

そこで、殆どのネット上のやり取りを監視することができるようにシステムが組み込まれている。

だから、仕事中に旅行のためのチケット購入をすればバレるし、メールも、内容に漏洩になるような用語が紛れていると検索で引っかかり、検証の対象になる。

もともと開発側にいた江尻は社外でも使えるアクセス権限を在職中は持っていて、出張等で社外からアクセスする権限も持っていた。

それらはもちろん、退職時に外から普通ならアクセスできないようにパスワード等を変更して、安全性を高める。

しかし、それらを開発した側の江尻だから足跡を残さずに、時折会社のパソコンで不正に個人活動をしている社員を見つけ出し、それらを経由してその人物のスマホやパソコンに繋がる情報で会社パソコンを使っているやつを何人も見つけていた。

同じ偽バナーを流し数人を誘い出すことにしたのだ。

その何人かのなかで選ばれたのが阪本と本間だった。

彼らは時間差でHIROBAを利用しだした。

そこへ務め始めたのが、村田結果(ゆか)という女性だった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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