ACT7

文字数 647文字

そんな 憂鬱から2週間も過ぎた頃。

最後の詰めの部分の証言を取りに浅霧と結城は都内のある場所へと出向いていた。

浅霧が、何処かに消えてしまおうとしているのを見つけて無理やりと連れてきた割にはすんなりと終わり、後は署に戻るだけとなったのだが、

「こんなに早く戻ったらさ、班長のつまらない顔を見なきゃならないだろ。」

と、すねているので時間も昼を少し過ぎていたこともあり、オープン席も多いカフェで、昼食を兼ねて休憩することにした。

蕎麦がいいとごねていたが、通りすがりの店はドコモ行列だったので、コンビニで済まそうと考えていたところに、この店のオープンスペースを見つけた。

疲れていたのか、とっとと座って

「適当に買ってきて。」

と言って、5千円財布から出してくれた。
結城がカウンターに小走りに向かう。

結城にとっては、前から少し気になっていた店だったから、楽しくて仕方がなかった。

浅霧はさっきまで蕎麦を所望していたということは、さっぱり系がいいのだろうと勝手に判断して、ジンジャーソースが掛かったホットサンドにした。

結城はトマトとアボガドが挟まれたハンバーガーにして、サイドはオニオンリングを選ぶ。

何となく、フライドポテトまで付けるとちょっと重い気がした。

浅霧は、炭酸飲料が好きだからコーラにした。結城は自分の分として、アイスコーヒーを選ぶ。

「今度またあの喫茶店に行く時は、僕も連れて行ってくれたらいいのに・・・。」
という嫌味を込めて。

あそこのコーヒーは、お世辞じゃなく美味しかった。
でも、結城一人じゃ行きにくい。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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