その104
文字数 590文字
下に降りていく階段があった。
割と人が多く賑わっている。
上で歩いていると船のような感じなのに、ここから見るとテトラポットたくさん置かれていて、なんだか不思議な感じだ。
スペースの一部に、この海底トンネルを掘ったらしい大きな掘削機を使って作ったモニュメントが建てられている。
その周りで、写真を撮りながら散策する。
高い場所から見る景色とまた違った海を見る感覚は、浜辺で見る海の高さと視線上では変わらないはずなのに、浜辺だったらみえるはずの海岸線とかが視界に入らないからなのか、また違った景色を見せてくれる。
こうやって見える景色の中では、僕なんかはちっぽけだ。
テトラポットが積み上げられたところで、少し風が吹いて寒さを感じて上着のポケットに手を入れると、そこに見慣れないものが入っていた。
さっき誰かとすれ違ったとき、ぶつかりそうになったからもしかするとその人のものなのかもしれない。
それは黒い物体だった。
手の中にすっぽりと収まる。
僕には不要なもの。
その処理にどうしたものかと考えあぐねながら手に持って眺めている時、急に後ろから声を掛けられた。
「あれ、あなたはたしか江尻さん?」
振り向くと、そこにいたのはあんまり会いたくない相手だった。
僕は、とても驚いた。
顔に出さないように、営業スマイルで返す。
「あー、奇遇ですね・・・、えっと、たしか・・・。」
向こうも笑顔で返す。
「御幸です、奇遇ですね。」
割と人が多く賑わっている。
上で歩いていると船のような感じなのに、ここから見るとテトラポットたくさん置かれていて、なんだか不思議な感じだ。
スペースの一部に、この海底トンネルを掘ったらしい大きな掘削機を使って作ったモニュメントが建てられている。
その周りで、写真を撮りながら散策する。
高い場所から見る景色とまた違った海を見る感覚は、浜辺で見る海の高さと視線上では変わらないはずなのに、浜辺だったらみえるはずの海岸線とかが視界に入らないからなのか、また違った景色を見せてくれる。
こうやって見える景色の中では、僕なんかはちっぽけだ。
テトラポットが積み上げられたところで、少し風が吹いて寒さを感じて上着のポケットに手を入れると、そこに見慣れないものが入っていた。
さっき誰かとすれ違ったとき、ぶつかりそうになったからもしかするとその人のものなのかもしれない。
それは黒い物体だった。
手の中にすっぽりと収まる。
僕には不要なもの。
その処理にどうしたものかと考えあぐねながら手に持って眺めている時、急に後ろから声を掛けられた。
「あれ、あなたはたしか江尻さん?」
振り向くと、そこにいたのはあんまり会いたくない相手だった。
僕は、とても驚いた。
顔に出さないように、営業スマイルで返す。
「あー、奇遇ですね・・・、えっと、たしか・・・。」
向こうも笑顔で返す。
「御幸です、奇遇ですね。」