Discloseー15

文字数 493文字

今、浅霧は変な言い回しをした。

「フロアだったけど・・・。」
たしかにそういった。

さっきは「上司だった」と森宮氏のことを言っていたのに。
言い間違いだろうか?

いや、言い間違いじゃないのかもしれない。
よく見れば、江尻の態度がそれを示している。

森宮氏と同じ質問が出されているが、適当な相槌で流している。

結城はふとそのやり取りを聞きながら
「江尻は、そんなに中西氏のことを知らないのではないのだろうか?」
というイメージを持ち始めた。

だったらなぜ、危険を犯してまでわざわざ病院に『偽名』で訪ねて来たのか。

そしてその後すぐ更に危険を犯してまで侵入し、襲撃したのだろうか。

そんな疑惑を感じながらも、浅霧が出し続ける質問に適当に答えている江尻を観察する。

どんどんと質問が重ねられていくと、そこにダメージが積み重なっていく様を見届けた中で、

「最後に、まだ目が覚めない中西氏に何か伝えたいことありますか?」

「・・・」
明らかに今までの中で一番驚いている。
そして、みるみるうちに落胆していく。

血の気が引いていく顔というのを、結城は多分目の当たりにするのは、初めてかもしれないと思った。

「・・・そう、あれ失敗したの?」
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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