その95

文字数 569文字

僕はなんとなく、
「もしか家族ができて、こういう状態になったら、すぐ殺してくれって言っちゃうかもな。」
と思ってしまった。

まあ、コミュ障だから恋人なんてできるわけもなく、つまりは家族どころか結婚なんてまったくもって想像できないけれど。

だから、僕がこの状態に陥ったとしたら、僕のこの状態をみるのは大嫌いな両親たちだ。

何年も、なるべく人に迷惑を掛けずに行きていきたいと思って過ごしてきた。

だから、葬式代位の一番安い保険に独身だけど入っているのは、親より先に死ぬことがあったら、これで葬式と僕が増やした荷物を処分するのに使えるようにという配慮だ。

もし、結婚する時が来たら、その家族になってくれた人が1年位こまらないくらいの金額にするかもしれないが、今の所予定がないので、その最安の保険でまかなえている。

だから、掛かっている金額も入院の専用保険とかをあわせても1000円くらいの掛け金で済んでいる。

そういう意味でカードの団体保険とかは本当に安く入れて便利だ。

ふと、結婚出来ている中西のほうがちょっと自分より優れていると思った人間が一人でもいることに腹がたった。

奥さんはもしかするとああ見えて、世間知らずなどこかいいところのお嬢様とかだったのかもしれない。

なんにも知らないから、こんなやつと長年一緒に過ごせるんだろう。
奥さんが勝手に気の毒に思えてきた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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