ACT22

文字数 686文字

合同捜査になったことでまた1から概要を発表してもらうことになった事をまとめると以下のようなことだった。

5月31日、梅雨入り間近のその日は数日前までに広範囲で気温が高い日が続いていて、朝からあちこちで不安定な天気の一日だという予報になっていた。

ゲリラ豪雨のように雷も鳴っていた地域もあり、停電騒ぎや冠水騒ぎでどこの所轄も色んな場所に人員を引き裂かれていた日である。

最初の一報は21時少し前。

北芝署の管内での救急車の要請からで、歩道橋の階段から落ちた人がいて、その人は搬送後死亡が確認された。

そこに目撃者がいた。

目撃者によると、20時ころ急な雨で雨宿りをしてたのが、歩道橋から30m位離れた店の軒下だった。

雨音の強さにうんざりしていたときに、何となく叫び声が聞こえた気がしてみると、歩道橋の階段の下に何か塊が見えたらしい。

ただあまりに雨も強く、傘も無かったので5分位はその場から動けずに様子を見てたそうだ。

その際に、横断歩道の上に、傘もささずに人が立っていて、道路の反対方向へと歩いていったという。

人を認識したのは、下を車が通っていて、そのライトにぼんやりだが人のシルエットを映し出したからだそうで、その車が通らなかったら、多分気づいて居なかったと証言している。

雨脚が、少しおさまりその塊に近づくと血を流した人が倒れていたので、その目撃者が通報した。

目撃者は、最初、落ちている人を見た衝撃で歩道橋の上を人が歩いていたことの不自然さに頭の中で至って無く証言として出てきたのは、数日後だった。

その証言が出るまで、北芝署では雨の中で足を滑らせたことによる事故で処理するところだった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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