その73

文字数 592文字

「救急外来」という案内と矢印が見えた。

救急車が横付けできる出入り口だった。
流石に、ここから出たら邪魔になると思い、少し戻る。

すると、通り過ぎたところの先にスーツ姿の人が向かうのが見えたのでついていくと、さっき入ってきた受付近くにまでやってきた。

よく見ると、「検診コーナー」という矢印が着いてあった。
検診を受ける人は、これを見てここから入ってくるらしい。

ここにつながっているんだ…と、感心した。
そこまで来ると、始めに立ち寄った受付が見えた。

入る時に僕を対応した女性は居なくて、口紅の赤い女性だけがそこに居た。

今は受付に用事のある人は見えなかった。

僕は急にさっきの名刺のことが気になった。

会社員にとっては、頂いた名刺は万が一のことを踏まえて、安易に処分したりしない。

たとえその相手が、仲違い下気に入らない相手だったとしてもだ。

将来、何らかの事情で必要不可欠になってその会社と取引を再開したいとかがあった時を考え、名刺は整理しておくはどこの会社でもやっている。

大きい会社では一括管理をしているところもさえある。

今の会社ではそこまでしていないので、僕らは自分達で構築していかなければならない。

そういう意味で一応、整理して入れてあるのだが、まさかこんな形で利用するなんて想定してなかったから、整理するばっかりでデータ化はしていなかった。

サイトに入れておけばよかったから控えの連絡先が分からない。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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