ACT2
文字数 477文字
年々、色んな事を忘れていて時々高橋の顔を認識できない日があるという。
「まあ、久しぶりに僕のことを見て、名前を呼んでくれたよ。久しぶりに見たら、オジサンになったねってさ。」
そういって、コーヒーをすする。
「そうか。」
ほんのひととき、時間の流れに想いをはせる。
この前の事件のキツネの話は、きっとおばさんは少し知っていたに違いないのだけれど、そういうのも聞けない。
何度か面談にいったけれど、母のことはうっすら覚えているようだったけれど、若いときの事ばっかりで近年のことは記憶にないらしい。
俺のことも、子供のころの高橋と近所の悪ガキだったくらい前の事を話す時に名前が出るが、それと目の前の人間が同じと言う認識は皆無なのだ。
まあ、何処までが本当か嘘か分からないが、意思と病気とで閉じかけている心の中は、その世界の外側の人間である俺の手じゃ開けない。
あのキツネの呪いは、まだ色々と終わっていないし、何処まで広がりがあるのか分からないが、当事者として追える相手が少なすぎて、進展を望めないでいた。
高橋がふと思い出したかのように、でも一番聞きたがっていることを聞いてきた。
「まあ、久しぶりに僕のことを見て、名前を呼んでくれたよ。久しぶりに見たら、オジサンになったねってさ。」
そういって、コーヒーをすする。
「そうか。」
ほんのひととき、時間の流れに想いをはせる。
この前の事件のキツネの話は、きっとおばさんは少し知っていたに違いないのだけれど、そういうのも聞けない。
何度か面談にいったけれど、母のことはうっすら覚えているようだったけれど、若いときの事ばっかりで近年のことは記憶にないらしい。
俺のことも、子供のころの高橋と近所の悪ガキだったくらい前の事を話す時に名前が出るが、それと目の前の人間が同じと言う認識は皆無なのだ。
まあ、何処までが本当か嘘か分からないが、意思と病気とで閉じかけている心の中は、その世界の外側の人間である俺の手じゃ開けない。
あのキツネの呪いは、まだ色々と終わっていないし、何処まで広がりがあるのか分からないが、当事者として追える相手が少なすぎて、進展を望めないでいた。
高橋がふと思い出したかのように、でも一番聞きたがっていることを聞いてきた。