ACT55

文字数 637文字

しかし、容姿風貌は浅霧が見た江尻だった。

「名刺を、提出願いますか?」
「承知しました。では、もう一人に預けます。」
数分後、そのもうひとりがやってきた。

挨拶もそこそこに、
「申し訳有りません。名刺、お返ししちゃって。」
そう言うと立ち上がって頭を下げてきた。

その時の経緯も話してくれた。

受け取れたら受け取れたらで、受け取れなかったら受け取れなかったで、どちらでも構わないが印象に残るのは、「眼鏡の男性」であり「株式会社カブト」の人間であるのであって、江尻ではない。

巧みだなと、浅霧は感じていた。

しかし、気になるのが「スマホを無くしてしまって」と言ったことだ。

早く彼と話したくてウズウズする。

「ありがとう。」
というと、受付の女性は自分の持ち場へと帰っていった。

会議室には事務長だけが残る。

「すみません、お手数をおかけしますが、お願いがあります。」
と言って、今後についての打診を始めた。

今の段階では何の手続き権限も持ち合わせてないので、今日中に別のものが経緯説明に伺うが、と前置きしとりあえず会議室を後にした。

その連絡は三井にお願いする。
死んだ森宮の名刺を語っている事を中心に、三井は興奮気味に話している。

そっちで盛り上がって話をしているうちに、駅についたらしい事を結城が中継してきていた。

その連絡が島田にも行っているらしく、車を追いて結城と合流するとある。
車の件は近くの交番に任せたとあった。

三井の方を見るとまだ話をしている。

その間、こちらをチラチラとみて来るので渋々電話を変わった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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