その59

文字数 376文字

そういえば一人は死んだけど、中西は死んでないって言ってたな。
しかも、意識不明の重体って。

誰も居ない空間に向かって
「お見舞いでも、行くか・・・。」
とつぶやいた。

嫌いな相手、僕をなじった罰が当たったんだ。

これで良しとしよう。
僕とはもう関係ない会社の人だ。

それにお見舞いに行くというのは、僕がマウントを取る形になるように思えた。

そしたら、無性にお見舞いに行くという気持ちが心を占めていった。

酔いというのは、そういう意味で突拍子もないことを思い立たせる作用がある。

ただその一方で、病院は何処かなんてわからない。

まあ、適当に電話すれば誰か教えてくれるだろうと思った。
こういう、楽観的になれるところも、お酒のすごいところだ。

色んな事を考えていると、だんだん清々しい気分になってきた。

いつの間にかハイボールは飲み終えていたので、缶はゴミ袋に入れて、シャワーを浴びた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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