Discloseー1
文字数 687文字
浅霧が江尻の前で自己紹介をした時、彼は心底驚いていた。
少なくとも、結城にはそういうふうに見えた。
警察にまわりを囲まれたことももちろんのことだが、彼が自分でトランクから引きずり下ろした本間を何人かがライトで照らして見せたときのことだ。
彼をなんとか発見することができたのは、ちょうど太陽が沈む頃だった。
場所が場所だけに、極力安全に確保するために車を遠巻きに少しずつ包囲していって、タイミングを見ていたのだ。
トランクに閉じ込められていた本間はぐったりしていて、保護されたときには意識がなかったがまだ生きてはいた。
周囲を囲んでいた殆どが目撃し、むしろその本間に触れている瞬間を狙って浅霧が声をかけたというのに、まるで魔法にでもかかったかのように、
「な、なんだこれ。僕の荷物はどこにいったんだ。」
と騒ぎ立てて後退りした。
囲まれていることとか、状況的にどうなっているのかとかそういう事は眼中にはないような素振りだった。
逮捕における口上も結城が噛みながらも熱弁していたのに、聞こえていないようで安全を確保するために二人の身柄を押さえて、一旦警察病院へと運ばれた。
予想外にうろたえる江尻を冷ややかに見ていたのは、多分あの瞬間は浅霧だけだったと思う。
意識がなかった本間は救急車で運ばれ、後退り後は電池の切れた人形のように何も話さなくなった江尻は、パトカーで病院まで移送された。
後で結城たちに連絡が来たが、病院に着いてしばらくした後意識を取り戻し、江尻が病院に到着する少し前から、検査が始まったらしい。
とりあえず命に別状がないという第一報を、江尻が到着するやいなや浅霧たちにも報告が回ってきた。
少なくとも、結城にはそういうふうに見えた。
警察にまわりを囲まれたことももちろんのことだが、彼が自分でトランクから引きずり下ろした本間を何人かがライトで照らして見せたときのことだ。
彼をなんとか発見することができたのは、ちょうど太陽が沈む頃だった。
場所が場所だけに、極力安全に確保するために車を遠巻きに少しずつ包囲していって、タイミングを見ていたのだ。
トランクに閉じ込められていた本間はぐったりしていて、保護されたときには意識がなかったがまだ生きてはいた。
周囲を囲んでいた殆どが目撃し、むしろその本間に触れている瞬間を狙って浅霧が声をかけたというのに、まるで魔法にでもかかったかのように、
「な、なんだこれ。僕の荷物はどこにいったんだ。」
と騒ぎ立てて後退りした。
囲まれていることとか、状況的にどうなっているのかとかそういう事は眼中にはないような素振りだった。
逮捕における口上も結城が噛みながらも熱弁していたのに、聞こえていないようで安全を確保するために二人の身柄を押さえて、一旦警察病院へと運ばれた。
予想外にうろたえる江尻を冷ややかに見ていたのは、多分あの瞬間は浅霧だけだったと思う。
意識がなかった本間は救急車で運ばれ、後退り後は電池の切れた人形のように何も話さなくなった江尻は、パトカーで病院まで移送された。
後で結城たちに連絡が来たが、病院に着いてしばらくした後意識を取り戻し、江尻が病院に到着する少し前から、検査が始まったらしい。
とりあえず命に別状がないという第一報を、江尻が到着するやいなや浅霧たちにも報告が回ってきた。