ACT54

文字数 700文字

比留田医師も何か察したようで、
「事務長から、先程こちらの、えっと…。」
「三井です。」
「そう、三井さんから中西さんの件で念の為警察官を常駐させるので、駐車スペースを貸してほしいと申し出があり、それについては了承した件は聞きましたが。」
事務長が心配そうな表情を浮かべている。

「ええ、その件についてお話が…。」
30分程話し合った末に、とりあえず了承を得て受付2人から話を聞ける段取りをつけてもらった。

じゃあ私はこれで。といい、比留田医師はその後、事務長に一言、二言なにか告げ出ていった。

話しがスムーズに行っているのは、姉の件が少し関わっているのかもしれないと思うと、気に入らない。

こういう成り行きが偶然のはずはない。
御幸はそういうことも偶然かのようにもしてくる。

非常にいいヤツだし、面白みの有る友人という一方で、こういうめんどうくさい演出をするのも好きな、道楽者だったりするのだ。

待っている間に、自分のスマホにそんな御幸からメッセージが届いていた。

『愛しの人が来たのか?』
御幸の部下は、どうやら江尻を見つけられなかったらしい。

比留田医師の件もあって、
『まあね』
とだけ送った。

御幸の想像以上の行動だったらしい。なかなか愉快な展開だ。

最初に見かけた御幸の関係者から連絡が行っているようだ。

数分もすると、一人目がやってきた。

まずは大人しそうな方の女性。

江尻の容姿を伝えると、
「江尻という名前じゃなかったんですが。」
多分…と前置きして、株式会社カブトの森宮と名乗っていたらしい。

三井が思わず、浅霧の方へと視線を向ける。

そんな事をお構いなしに、浅霧は受付の女性に視線をむけていたので、名刺を貰った経緯を話してくれた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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