その55

文字数 524文字

驚いた。

まあ、自由だからいいのだが、確かに仕事をしているようじゃないなとは最初に見たときの印象だったことを思い出した。

「いえね、喫茶店でもいいんですけど、うるさい時もあるでしょ?
どうしようかと思ってたら、あそこのチラシをもらってそれでどんなところかと思って試しにいったのが、昨日だったんですよ。」

なるほど、たしかにそれなら一理あるかもしれない。

カフェも喫茶店もうるさい客がいるが、あそこならみんな仕事の延長とかで来ているのでうるさいことはほぼ無い。

電話をする人は、ちょっと通路の向こうに昔の公衆電話ボックスくらいのスペースがあって、そこで話すのがルールになっているから、皆が座っているあの場所はうるさくする人はいないのだ。

「しかも、Wi-Fiも繋げちゃえば自由だしこりゃあいいやって思って、それで今日パソコンは持ってこれないから、スマホを持ってきて試してみてたんです。」

なるほど、だから今日は先日よりスマホをいじっているのが印象に残ったのだ。

「そうだったんですね。」

「江尻さんは、もうTheビジネスマンっていう感じですね。」
と言った。

ちょっと言い回しが古いが、僕より一回りかそれ以上年上に見えるので、そういう部分はあえて突っ込まないようにしておく。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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