Disclose16

文字数 552文字

病院で回収してきた、仕掛けの欠片が保護用のシートに入れられていて、机の上に並べられる。

流石に液体はここにはない。

「売っていることを知っていれば、小学生でもできてしまう仕掛けですが、全て病院内でも手に入るようなものばっかり使ってますよね。」

オブラートの欠片。
薬用のカプセルの欠片。

「家宅捜査でもでも出ました。明日、あなたの家のエリアはゴミの日なんですね。なんとか間に合いましたよ、使わない分を廃棄する寸前でしたね。」

ほぼ新品のケース。
1箱に50くらいずつ入っていたようだが、多分、ほぼ使われていない。

「家で練習したんですね、どの厚さの組み合わせなら、何分で溶けるのか。病室から抜け出す10分くらい余裕ができますから。」

「・・・」
何も答えず、ただほんの少しだけニンマリとする。

「そういえば、今の会社のあなたの上司が褒めてましたよ。中堅の企業だから、あなたの能力に見合う分の給与の支払いができていないけれど、あなたが開発したシステムがあなたの会社の主力の一つだそうですね。だからあなたは自分のシステムを使ってもらうために営業に回っていたと。」

「・・・」
同じように黙って聞いているが、その話は面白くなさそうに見える。

「『株式会社カブト』も『サトウ商事』もね、あなたが辞めたことを惜しがってましたよ。」

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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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