その38
文字数 511文字
あの、 雨の日。
電車で飲み物を掛けられた日。
僕は、絶対的なアリバイがあるじゃないか。
最悪な1日だと思っていたけど、最高な1日だったということに気がつくと、やっと抑えて落ち着いた笑いだけがまたこみ上げてきた。
ははっ、はははっ。
そこで、ツイ笑い声を漏らしてしまった。
「何か、楽しいことでも?」
突然後ろから声を掛けられた。
驚いて、今淹れたコーヒーを零しそうになった。
そこに、一人男性 が立っていた。
どこか飄々とした感じで、少し年上のように思う。
驚いたからの、鼓動の速さからのドキドキなのか。
何か良からぬことが起き始める警鐘からのドキドキなのか。
胸の奥で鼓動が早まるのを感じている。
だから僕は、その人の頭の先から足の先まで、つい、目でなぞるように見ながら、
「え、いえ。ちょっと思い出したことがあって・・・急に笑いだしたら、気持ち悪いですよね。失礼しました。」
と頭を下げた。
はやく、ここから逃げ出したい・・・
男性は、口元だけ笑顔を作りながら
「そうですか。楽しいことでもあるなら、羨ましいと思いましてね。こちらこそ、突然話しかけてすみません。」
と、その人も頭を下げてくれた。
僕は、適当に愛想笑いし、「お先に」と言ってその場を後にした。
電車で飲み物を掛けられた日。
僕は、絶対的なアリバイがあるじゃないか。
最悪な1日だと思っていたけど、最高な1日だったということに気がつくと、やっと抑えて落ち着いた笑いだけがまたこみ上げてきた。
ははっ、はははっ。
そこで、ツイ笑い声を漏らしてしまった。
「何か、楽しいことでも?」
突然後ろから声を掛けられた。
驚いて、今淹れたコーヒーを零しそうになった。
そこに、一人男性 が立っていた。
どこか飄々とした感じで、少し年上のように思う。
驚いたからの、鼓動の速さからのドキドキなのか。
何か良からぬことが起き始める警鐘からのドキドキなのか。
胸の奥で鼓動が早まるのを感じている。
だから僕は、その人の頭の先から足の先まで、つい、目でなぞるように見ながら、
「え、いえ。ちょっと思い出したことがあって・・・急に笑いだしたら、気持ち悪いですよね。失礼しました。」
と頭を下げた。
はやく、ここから逃げ出したい・・・
男性は、口元だけ笑顔を作りながら
「そうですか。楽しいことでもあるなら、羨ましいと思いましてね。こちらこそ、突然話しかけてすみません。」
と、その人も頭を下げてくれた。
僕は、適当に愛想笑いし、「お先に」と言ってその場を後にした。