その69
文字数 532文字
そのエリアをすぎると、個室のエリアにやってきた。
少し通路が弧を描くような作りだ。
湾曲しているからなのか、病院の雰囲気と相まってどこか知らない世界へといざなわれていくような変な錯覚を起こす。
二度と帰れなくなるような、どこか変な世界へと舞い降りていくようなそんな感覚だ。
ここまで来ると、ドアが開いているところと開いていないところと出てきた。
個室エリアの真ん中が中西の部屋だった。
ノックをすると、女性の声が聞こえた。
ドアを開けると、ベットの脇に女性が座っていて、顔だけこちらをむけていた。
看護師とかじゃないと気づくと、すくっと立ち上がって、会釈だけしてきた。
年齢的に中西の奥さんかと思う。
僕も会釈をしてから、
「あの、お見舞いに・・・。」
と言いながら、数歩近づく。
中西は目をつむったままで、鼻のところに酸素をを取り込ませると思われるチューブが付けられ、それ以外にもコードのようなものがたくさん見えた。
頭に包帯も見えるし、片方の足だけ不自然な感じになっているので、掛け布団で圧が掛からないようにしているのかもしれない。
見ただけでもなんとも痛ましい姿だった。
さっき、名刺を渡してしまったので予備がない。
ここでも、
「森宮と申します。」
と名乗った。名刺を出すような仕草は添えずに。
少し通路が弧を描くような作りだ。
湾曲しているからなのか、病院の雰囲気と相まってどこか知らない世界へといざなわれていくような変な錯覚を起こす。
二度と帰れなくなるような、どこか変な世界へと舞い降りていくようなそんな感覚だ。
ここまで来ると、ドアが開いているところと開いていないところと出てきた。
個室エリアの真ん中が中西の部屋だった。
ノックをすると、女性の声が聞こえた。
ドアを開けると、ベットの脇に女性が座っていて、顔だけこちらをむけていた。
看護師とかじゃないと気づくと、すくっと立ち上がって、会釈だけしてきた。
年齢的に中西の奥さんかと思う。
僕も会釈をしてから、
「あの、お見舞いに・・・。」
と言いながら、数歩近づく。
中西は目をつむったままで、鼻のところに酸素をを取り込ませると思われるチューブが付けられ、それ以外にもコードのようなものがたくさん見えた。
頭に包帯も見えるし、片方の足だけ不自然な感じになっているので、掛け布団で圧が掛からないようにしているのかもしれない。
見ただけでもなんとも痛ましい姿だった。
さっき、名刺を渡してしまったので予備がない。
ここでも、
「森宮と申します。」
と名乗った。名刺を出すような仕草は添えずに。