その67

文字数 488文字

受付に行ってから、ちょっと思い当たる。

そう言えば、最近個人情報だとか言って、病室教えてもらえないのでは・・・と。

しまった。

嫌でも、さっきの刑事さんに聞けば良かった。と、すぐさま後悔した。

本当に思慮が浅い。

そこで、邪魔にならないところで少し考える。
ふと午前中、病院の場所を聞くのに使った名前の会社でもらった名刺があったのでは?ということに気がついた。

名刺入れを探すと、電話で聞き出した時に使った本間の名前とは違ったが、森宮名義の名刺が出てきた。

よし。

とりあえず不自然に見えないように名刺入れの自分が普段使っている名刺の一番上に入れ直した。

受付は、病院に似つかわしくないような赤い口紅をした女性と、清楚な感じの女性がいた。

赤い口紅の人は、おじいさんに何かを説明していた。
見た目に反して、なかなか親切な感じの人だ。

僕は、もうひとりの人の方に声をかける。

「すみません、こちらにサトウ商事の中西さんが入院しているはずなんですが・・・。」
すると案の定、
「申し訳ありません、部外者のかたにお教えできない規則になっております。」
とけんもほろろにいわれた。

そこで、一計を案じ大いに困ってみせた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み