ACT53
文字数 709文字
結城のいいところは、頼んだことは一通りやってくれるところだ。
それと、班長からの嫌味のクッション。
あの面倒は結城が適任だ。
その足でまず三井と一緒に受付へと向かった。
受付には、少し派手目な女性とおとなしそうな女性が並んでいた。
さっきは一人だけで、派手目な女性だったので浅霧はそっちの女性の方に近づきつつ、三井に警察だということを名乗らせ、警察手帳を見せた。
三井が何か発しようとしたところを止めて、
「まって、事務局へ先に行こう。」
2人それぞれに何か言いたいことがありそうなのを察したからだ。
三井は、少し前に許可を取りに行った事務局へと浅霧を案内し、アポを改めて取ってもらった。
応接室に通され待っていると、白衣の男性と事務長がやってきた。
浅霧は初対面だったので、お互い名刺交換をして挨拶をすると、
「浅霧?もしかして、美空さんというご家族がいらっしゃる?」
と、白衣の男性が言う。
こんなところで思いがけない名前が出てきた。一瞬、不快感でいっぱいになる。
それでも、それを出さないように、
「ええ、美空は姉ですが。」
とだけ応える。
警察の到来をどこか知っていたらしい白衣の男性は、よそ行きじゃない笑顔になり
「へぇ、君が美空さんの弟さんか。」
と急に親しみやすい声で話し出す。
受け取った名刺には『比留(ひる)田(た)学人(がくと)』と書いてある。
「学部は違うけど、サークルで一緒だったんだ。何年か前、同窓会的なのがあって、その時に…。」
ちょっとムッとしながらも、顔には出さないように
「そうですか、姉と。」
今は姉のことを思い出したくない。
三井は、きっと何のことだろうとでも思っていることだろう。
メモを構えて、聞き取る姿勢をしながら見守っている。
それと、班長からの嫌味のクッション。
あの面倒は結城が適任だ。
その足でまず三井と一緒に受付へと向かった。
受付には、少し派手目な女性とおとなしそうな女性が並んでいた。
さっきは一人だけで、派手目な女性だったので浅霧はそっちの女性の方に近づきつつ、三井に警察だということを名乗らせ、警察手帳を見せた。
三井が何か発しようとしたところを止めて、
「まって、事務局へ先に行こう。」
2人それぞれに何か言いたいことがありそうなのを察したからだ。
三井は、少し前に許可を取りに行った事務局へと浅霧を案内し、アポを改めて取ってもらった。
応接室に通され待っていると、白衣の男性と事務長がやってきた。
浅霧は初対面だったので、お互い名刺交換をして挨拶をすると、
「浅霧?もしかして、美空さんというご家族がいらっしゃる?」
と、白衣の男性が言う。
こんなところで思いがけない名前が出てきた。一瞬、不快感でいっぱいになる。
それでも、それを出さないように、
「ええ、美空は姉ですが。」
とだけ応える。
警察の到来をどこか知っていたらしい白衣の男性は、よそ行きじゃない笑顔になり
「へぇ、君が美空さんの弟さんか。」
と急に親しみやすい声で話し出す。
受け取った名刺には『比留(ひる)田(た)学人(がくと)』と書いてある。
「学部は違うけど、サークルで一緒だったんだ。何年か前、同窓会的なのがあって、その時に…。」
ちょっとムッとしながらも、顔には出さないように
「そうですか、姉と。」
今は姉のことを思い出したくない。
三井は、きっと何のことだろうとでも思っていることだろう。
メモを構えて、聞き取る姿勢をしながら見守っている。