しょーもない人間

文字数 769文字

今年は大阪でも花火大会や夏祭りが軒並み中止になってしまった。
ウチの近く(徒歩だと二十分くらいかかるけど)に1800年前からあるらしい大きな神社があるのだが、そこも今年は神事(?)だけして、夜店なんかは出ないそうだ。
姪っ子を連れて行ってあげたかった。
そこのお祭りには、夏も冬(初詣)も絶対来るのが、見世物小屋だ。(もしかすると、最近は来てないかも知れない。)
見世物小屋って全国どこでもあるんだろうか?
他の神社のお祭りは行った事がないので知らないのだが、とにかく、なんか凄い劇画で手書きの映画看板みたいな看板に、蛇女とか牛女とかの絵が書いてあったりして、入り口では魚屋さんみたいにスゴイ声がガラガラのおっちゃんが口上を述べている。
看板も口上も割と好きだが、子供の頃は怖かったし、大人になると、本物だったら倫理的な問題が生じるから、絶対偽物だよね。とかいうしょーもない判断を下して、その偽物に八百円(六百円かも知れない)を払うのが惜しいから、ワタシは一回も入った事がない。
父は子供の頃、祖父と一回だけ見世物小屋に入ったことがあったらしい。
その時の目玉は人魚だか半魚人だかなんかだったのだが、それが明らかに偽物だったそうで、激昂した祖父は「偽モノやないかい!!金返せ!!」と口上の人に詰め寄った。
すると裏から怖いお兄さんが登場して、祖父はバチクソボコられたという話を昔、父から聞いた。
父は以来、見世物小屋だけには二度と入るまいと決めたそうだ。
ヤ◯ザな商売だったんだろう。昔は。
お祭りというと、毎回その話を思い出すのだ。
父は「なんで親父があんなに怒ったのか、俺にはわからんかった」と言っていたが、きっと祖父は、本物だと信じて見世物小屋に入ったのだ。
そんなTHE純な祖父と比べて、ワタシってほんとしょーもない大人だな。と思ったり、思わなかったりする。
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