反面教師に、俺は、なる。

文字数 655文字

ワタシの財布には、なんと330円しか入っていない。
給料日は金曜日なのであと三日もあるのにだ。
甥っ子に「俺より金持ってないやん」と笑われたので、千円貸してくれたら五日で倍にして返しますけど、どうします?って融資をお願いしてみたが、断られた。
五日で十割なんて、めちゃくちゃ高金利じゃないか。
トゴ(十日で五割)で有名なウシジマくんの四倍、法外だ。
しかも融資をして欲しい側がわざわざ頼んでいるのだ。こんなに美味しい話に飛びつかないなんて、まだまだあまちゃんだ。
ワタシなら一万円貸す。
もう少し、先を見越して賢く生きて欲しい。
ワタシはこのようにして、甥っ子に厳しい世の中を生き抜くための、処世術を教えているのだ。
甥っ子に融資を断られたので、ワタシは残り三日を三百円で過ごす必要がある。
とは言え、毎日、おにぎりを一個持って行ってるし、引き出しにはインスタントコーヒーとカフェオレのスティック(26本で300円ちょっと)が常備してあるし、ビスコのきなこ味(?)とかブルボンのラングドシャだかグランシャトーだかを保管している。あとボトルガム。
おやつにも飲み物にも全く困ることがない。
都会で働いてるならいざ知らず、勤め先の周辺一キロ圏内にはコンビニすらない。お陰で外でランチとかいう小洒落たことができないため、今日ランチ行かない?と誘われる心配もない。
それ以前に誘われないんですけど。
ともかく残り三日を、330円で生き抜く。
※晩御飯は母が用意しています。
ワタシのそんな背中を見て、甥っ子と姪っ子には逞しく生きる術を学んで貰いたい。
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