下手くそな絵と下手ウマな絵。

文字数 933文字

時々、ただ下手なだけの絵を下手ウマと表現する人がいるけど、下手ウマは圧倒的な画力が根本にある上で、めちゃくちゃ下手風に描かれた絵のことだ。
ただの下手とはわけが違う。
一回、絵としての体裁が整う程度描けるようになると、先日掲載した、ルソーが描いたんかと見まごうホワイトタイガーの絵は絶対に描けない。
あの絵を見ながらの模写なら出来るが、ガチのホワイトタイガーを見ながらあの絵を描くのは至難の業だ。
めちゃくちゃ上手く描けるのに、その上手さを全て無かったことにして、人間を再構築したらこうなりました、みたいな人間を描いたピカソは、だから天才なのだ。多分。知らんけど。
アンリ・ルソーといえば、ワタシの中で下手ウマというイメージがあった。
教科書に載ってたルソーの絵を見て、中学生のワタシは、下手くそすぎんか?と思ったものだ。
なんせ幼い女の子の可愛さが、一ミリだって表現されてなかったからだ。
実在した人の肖像画なのでこんなことを言うのは失礼だが、とにかく少女っていうか、女装趣味のおっさんなので、笑ってしまった。
だが、教科書に載るくらいの有名画家の絵が下手くそなわけない!芸術は凡人の中学生に理解できる簡単なものじゃないのだ!!そうだ!これは下手ウマだ!!!
と思うことにした。
ところが、去年、山田吾郎さんのルソーの解説をみて、中学時代のワタシが、下手くそじゃね?という感想を持ったのは間違ってなかったのだ。と知った。
山田吾郎さんははっきりこう言った。
「ルソーは絵が下手なんだよね」
と。
ワタシは感動した。
美術の教科書はルソーの絵の下手くそさを教えてくれないし、何故、下手くそなのに今も絵が残ってるのかも教えくれなかったからだ。
芸術は崇高なもんだと押し付けられている気がする。変な絵も「これ変だよね?だって下手だからね」と教えてくれたら、もの凄く面白いのに。
もし、山田吾郎さんが美術の先生だったら、中学生のワタシは美術にめちゃくちゃ興味を持った筈だ。
美術の教科書は山田吾郎さんが監修したらいいんじゃないだろうか?
そしたらきっとみんな美術を好きになる。
ちなみにルソーの解説は人気だった様で二回特集されていた。
夢を追う人には絶対見てほしい。
参考にはならんけど、めちゃくちゃ勇気だけは貰える。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み