幸せってなんすかね?

文字数 961文字

以前、家業で飲食店をやってたのだが、そこにいつも来る、おばちゃんがめちゃくちゃ熱心な宗教信者だった。
多分、うちに来てたのも、勧誘が目的だったんだと思う。
その熱心さは、一週間に三日か四日はコーヒーを飲みに来てた。と言えば伝わるだろうか?
4、5百円とはいえ、勧誘のためにお金使うってすごない?という感じだ。
ウチの母はそういうのは嫌いだし、妹はクールにあしらうし、多分、ワタシだけがへぇとか、はぁとか、話を聞いていたというのもあったと思う。
おばちゃんは、そのうちワタシだけがいる時間帯を狙って来る様になった。
ワタシが話を聞いたのは、単純にワタシの好奇心が旺盛だったからで、その宗教よりおばちゃんに興味があったからだ。
どんな人生を歩んできたのかが、割と気になった。
とにかく何がなんでも、宗教のお陰にしたいようで、なんでもかんでも宗教に繋げて、だからこうなった、だからああなった、だから私は幸せ。という感じなのだ。
が、よくよく聞いてると、二人の息子の内、長男は結婚してるにも関わらず、毎月金をせびりに来るし、東京の大学に進学しためちゃくちゃ可愛がってた自慢の次男は電話して来るどころか、長期休みでも家には帰って来ないし、旦那はおばちゃんの活動が熱心すぎて「もうやめときなさい」と呆れ返っている。という話だった。
おばちゃんには、尊敬する人がいたらしい。
毎月何十人も勧誘する人だったそうだ。
「勧誘の鬼」という異名を持つ凄い人だったそうだ。
おばちゃんはその人くらいになって、もっと幸せになるんだと、言っていた。
勧誘したからどうなのか聞いてないので知らんけど、多分、徳を積むとかそういう事なのかな?と思う。
とにかく鬼の様に勧誘しまくってた勧誘の鬼だが、最終的にどうなったのかというと、経営していたお店は潰れ、家族は離散し、体を壊して、挙げ句の果てに誰にも看取られず、孤独死したらしい。
おばちゃんの幸せも、勧誘の鬼の幸せも、ワタシのものさしで、はかれるもんじゃないとはわかってるし、幸せは必ずしも形があって目に見えるものでもないと、わかってはおるけど、二十代のワタシは、
じゃあ、幸せって一体なんなのよ?
と思った。
というか未だによくわからん。
幸せってなんなんです?
そんなこと考えてるうちはまだまだ甘ちゃんだ。。。とその様に思いました。

また明日。
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