ワタシなど、冬枯れの葦ぐらいには枯れてんぜ。

文字数 1,261文字

何かに熱狂するっていうことが、すっかりなくなった。
持続力がないのは、割と昔からだからだけど、それでも昔の方がまだマシだった気がする。
今やワタシの熱狂は常に刹那的で、二日ほどしたら、だいたい、熱狂したことも忘れている。
そもそもほんとに熱狂してるんだろうか?
父の姉に、不倫の末、他所の奥さんから旦那さんを略奪した人がいる。
兄弟が七人もいると、色んな人がいるんだな。。。
※仮に父の姉をケイコさん、その略奪した男性を山岸さんとする。
山岸さんは、東京の有名私立大学出身の作家だ。
大学の同期には、誰でも知ってる著名な作家がおり、毎年、直筆の年賀状が届くような人だったけど、本人は全然著名じゃなかった。
全然売れない作家だ。
一回だけ本を貰った事があった。
アレが自費出版だったか、出版社から出たものかはわからないけど、ハードカバーの私小説だったと思う。
父の姉のケイコさんは、山岸さんの熱狂的なファンで、東京まで押し掛け仲良くなったそうだ。(父母の話では)
わざわざ大阪から東京へ移住したんだから、凄いファンだったんだろう。
熱狂するという事が無くなったワタシには、ちょっと信じられない行動力だ。
事故か病気かは知らないけど、当時すでに山岸さんは後天的な重度の障害を持っていて、全身麻痺みたいな状態だったそうだ。
ケイコさん二十代の頃の話だ。
ワタシも山岸さんには三回ほど会った事があるけど、子供ながらに、どうしてこの人を選んだんだろう。。。と思った。
自力で動く事が出来ない山岸さんは、介護が必要だ。
トイレもお風呂も自分じゃ無理だし、会話もケイコさんを通さないと出来なかった。
苦労するのなんて目に見えている。
父はそれとは別に、山岸さんが苦手な様だった。
父は野生味溢れる似非ターザンだったけど、とにかく真面目なので、不倫の末くっついたことは、あまりよく思ってなかったのかも知れない。
ケイコさんと知り合った当時、山岸さんには東京に奥さんとお子さんがいたが、最終的にはケイコさんに山岸さんを押し付けるような形で夫婦関係は解消されたそうだ。(母談)
その後、ケイコさんは山岸さんを連れて大阪に戻った。
ケイコさんは山岸さんが売れない作家なので、生計を立てるために働きながら介護をして支え続けた。
ケイコさんに会ったのは、父の一周忌が最後だ。
まだ生きてるんだろうか。。。。
男女の関係はなかったという。
純愛というのか、なんと言うのか、二人の関係性をワタシの拙い言葉では言い表せないので、エモいと言っておく。
困った時に便利な言葉だなー。
別れた奥さんにとったら、何が純愛だよ!!!!って感じだろうけど。
略奪したことは、全くもって褒められるもんじゃないし、ワタシはそういうのは大嫌いなんだけど、死ぬまで山岸さんの人生を背負う覚悟で、略奪したんだと思うと凄い。
語彙力。
相手がブラットピットだったとしても、ワタシはブラピの人生を背負えない。
だって怖い。
自分だってどうなるともわからんのに、他人の何もかもを背負うと言うのは。
愛ってなんだと思います?
ワタシは、恐らくまだわかってない。
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