こだわりを捨てた日

文字数 561文字

朝電車に乗ることに対して、一点強いこだわりがあるワタシは、そんな早く家を出なくてもいいのに、毎朝7時四十分くらいに家を出る。
おかげで、派遣社員で時給のくせに二十分も早く出勤するという、謎の自主早出をしている。
もちろん、ワタシの勝手なこだわりなので、当然、申請してない。
そうまでして守り抜きたいこだわりというのは、自分でここだと決めた席に座って通勤することだ。
絶対そこがいいのだ。
いや、そこが良かった。昨日までは。
昨日、めちゃくちゃマナーの悪いおっさん二人がその席を狙って、まだ乗客が降りてないのに無理矢理電車に入って行き、そこに座ってたお爺さんが出る邪魔をしてまで、その席に座ろうとしていた。
当然、お爺さんはカンカンだ。
ワタシはそれを見て、この不毛な席取り合戦から離脱することに決めた。
いや、別に競ってたことは一回もないのだ。
なんせいつも一番前に並べる様に、二十分も早く家を出てるからだ。
ただ、しょーもないこだわりは捨てようと決めた。
昨日、たまたま、そういうおっさんに遭遇しただけなのだが、他人を不愉快にしてまで、そこに座ろうとしているおっさん二人を見て、ぞっとしたのだ。
ああいう人間にはなりたくない。
みっともない。
きっと会社でも嫌われてると思う。
ていうか、家族からも嫌われてるはずだ。
知らんけど。
ワタシは一つ賢くなった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み