山の中のふれあい動物園

文字数 893文字

ウチの父はトラックで薬品を運ぶ仕事をしていた。ワタシは子供の頃から、車に乗るのが好きで、よく父の仕事について行った。
父はだいたい11トントラックを運転していたので、普通の車から見る景色とはまた違った景色が見られるというのも良かった。
あれはどこに行った時のことか忘れたが、多分小学4年くらいのころだ。
薬品を下ろす先の会社というのがまだ開いてないから、しばらく休憩しよう。ということになった。
朝の六時半ぐらいだ。
夏だったので明るかったのだが、山道は車の通りが少なかった。
山の中腹あたりに、うどん屋さんやラーメン屋さんが並ぶ、広い駐車場を見つけたので、父はトラックをソコに停めて休憩することにした。
どうもお店は随分前に閉店しており、自動販売機も蜘蛛の巣だらけだった。明らかに最近閉店したという雰囲気じゃない。
廃墟好きだったので、怖いながらもワクワクしたのを覚えている。
その、駐車場の脇に、何かの施設の入り口の様な物があった。
近づいてみると、色褪せたふれあい動物園の看板があった。
入り口には入場料を払うブースみたいなのもあったけど、すでにボロボロになっており、使われてる様子もないのだ。
ゲートには鍵も掛かっておらず、簡単に入れるようになっていた。
捨て置かれた雰囲気満々で、廃墟好きのワタシは寝てた父を起こして、一緒に入ってもらうことにした。
入って驚いたのは、ボロボロで誰も世話などしてない雰囲気しかないのに、動物がいるのだ。
モルモットやハムスター、インコ、オウム、ウサギにヤギまでいた。
餌入れや水入れも当然ボロボロで、何か入ってるわけでもないのに、動物はみんな綺麗で、とても健康そうだった。
何も居ないだろうと思ってたので、父も驚いていた。
今考えても、随分不思議な場所だ。
ワタシはもう一回行きたかったので、父にまた行くときは誘って欲しいとお願いしていたのだが、普段はその会社とはほとんど取引がないとのことで、結局、そこへ行ったのは一回きりだった。
あれって何だったんだろう。。。と今でも時々思い出す。
因みにワタシは小動物の、何を考えてるかわからない、黒目しかない目が怖いので動物とはふれあってない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み