紅子さんの話

文字数 1,300文字

徹子の部屋に出てた鰐淵晴子を見た母が「〇〇(店名)のママ(父の姉)は、若い頃はフランス人形みたいだったらしい。鰐淵晴子とタイプが似てる」と言いだした。
確かに言われてみればそうだと思った。
祖母はどっちかっていうとミニカバみたいな顔だ(失礼過ぎる)し、その父の姉は、父の兄弟の誰にも似てなかった。
仮に紅子さんとしよう。
ワタシが子供の頃、紅子さんはスナックをやっていて、旦那さんは不動産屋さんかなんかで、シャンデリアがドーン!!!みたいな家に住んでいた。
お金持ちだったんだろう。
紅子さんは、歳の離れた末っ子の父をいたく可愛がっていて、その他の兄弟とは割とよそよそしかった。
ただ、父は紅子さんを「姉さん」とか「お姉ちゃん」とか呼ばず「ママ」とか「〇〇(店名)のママ」と呼んでいたので、父と紅子さんが兄弟だと言うのをワタシは知らなかった。
紅子さんは葬式には来るけど、兄弟一同が揃う祖父の法事には絶対顔を出さなかったので、父の知り合いの一人だと思ってた。
ウチの父と母は喫茶店で働いてたこともあってか、そういう知り合いが多かった。
兄弟だと知ったのは高校生の頃、祖母が亡くなった時だ。
紅子さんが「お母さん」と祖母を呼んでるのを聞いたのだ。
実は紅子さんは、祖母が沖縄から駆け落ちした大阪の男の人との間の子供だった。
相手の男の人が結局、家族の反対を押し切れなかったことで、結婚は叶わなかったらしい。
相手の男の人の家族がお金持ちで、紅子さんはこっちで育てる。と言われ、祖母は赤ちゃんだった紅子さんを泣く泣く引き渡した。
ドラマみたいな話だ。
結婚すら出来なかったので、ミニカバみたいな顔だけど(余計)祖母はほんとに気の毒だ。
ワタシは結婚の気配すらないので、もっと気の毒だけど。。。
どっちにしても、紅子さんは父ら兄弟とは、一緒に暮らしていなかった。
紅子さんが祖母に会いに来たのは、大人になってからだ。
若い頃はクラブのホステスとしてブイブイ言わせてた人なので、そんなのがいきなり現れたらビックリする。
なんせ父方の兄弟は硬い人ばっかりで、水商売!?は!?という感じだったようだ。
そらよそよそしなる。
ただ父は家族の中でも変人だったので、紅子さんに懐いたらしい。
因みに紅子さんと父は二十歳くらい歳が離れている。
なんせ父は7人兄弟の末っ子で、歳が近い兄弟とでも十歳近く離れてるのだ。
若い頃は、紅子さんのお店が忙しい時、父も手伝いに行ったというのだが、あんな頑固で人見知りの父がボーイなど出来たんだろうか?不思議だ。
お陰で母と知り合って(そこも複雑な経緯がある)、ワタシと妹が生まれた。
紅子さんはなんであんなにバタくさい(言い方が悪いけど)顔だったんだろう?相手の人がよほど男前だったんじゃないか?と聞いたら母は
「おばあちゃんがあんな顔やったんちゃう?〇坊(父のあだ名)も綺麗な顔してたし。。。知らんけど」
と言っていた。
父が綺麗な顔だったかどうかは、ワタシも知らん。
ワタシは祖母の血を受け継いだのか、祖母に似ている。。。。つまり、言いたく無いけどミニカバだ。
フランス人形にみたいな顔に生まれてみたかったぜ。。。

家族の昔話は面白い。

また明日。
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