声にも年齢が出る。

文字数 881文字

まだ仕事が全然見つからない時に、姪っ子に、Vチューバーにでもなろうかしら?と言ったら、なったらいいやないの。と言われた。
ゆうてワタシの声は昔から、鈍臭そうではあるけど、可愛いくはないので、地声では絶対無理だ。
そんなわけで、風呂場で姪っ子から「萌え声」の特訓を受けさせられた。
特訓って言ったって
「こんばんはぁ、〇〇だよぉ、今日はぁ、荒野行動の配信をやっていきたいと思いましゅ」
という姪っ子の考えた台詞を、姪っ子の後に続いて言うだけだ。
一応、ゲーム配信をメインにやってるVチューバーという設定だった様だ。
(※荒野行動は三人称視点の、シューティングバトルロワイヤルゲームです)
ちなみに荒野行動はやったことすらない。
声は喉の手前から出せ、とか、口は大きく開けるな、とかいう小四の指示の元、いい歳こいた大人の女が風呂場で二十分ほど
「こんばんはぁ、〇〇だよぉ、今日はぁ、荒野行動の配信をやっていきたいと思いましゅ」
を、可愛い(つもり)声で繰り返す様は、側から見ればただただキモい。
ワタシはあの時、どんな顔をしていたんだろう。。。
違う!そうじゃない!もっと、力を入れずに声を出せ!!!
と、姪っ子は繰り返し指導してくれはしたが、ワタシはいよいよVチューバーは無理だという結論に至った。
何十回目かの
「こんばんはぁ、〇〇だよぉ、今日はぁ、荒野行動の配信をやっていきたいと思いましゅ」
をワタシが言い終えた途端、姪っ子が、間髪入れずこう言ったからだ。
「いや、声がおばはんやねん!!」
今更。
今までの特訓は一体なんだったのか。。。
正直、ちょっとショックだった。
声がおばはんっていうか、声さえもおばはん。
まだ声は大丈夫やろ。
くらいの感覚でいたのだ。
声はそこまで年齢出んやろ。とたかを括っておったのだ。
いくら顔を出さずとも、声でおばはんがバレてしまっては、登録者一億人は目指せない。
「声がおばはん」はVチューバーにとっては致命的だ。
そんなわけで、声がおばはんのワタシは、さっさとVチューバーの夢を諦めた。
声優って凄い。
いくつになっても若人を演じられるんだから。
ハチミツをがぶ飲みして精進します。
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