ワタシは空気とやらを読まない。

文字数 1,139文字

中学二年のころ、一緒に居た同級生はいつも突然不機嫌になった。
不機嫌になる理由が周りの人間はわからなくて、ワタシはまたやってるわ。くらいにしか思ってなかったけど、他の子はいちいち「くみこちゃん、どうしたの?」と聞いてあげていた。
彼女はいつも「なぜかわからないのか?」と逆質問した。
わからんから聞いてるわけで、分かってたら聞かない。
「わからない」
と答えると、今度はこう言うのだ
「自分の言った事、振り返って考えたらわかると思うけど?分かってないの、◯◯ちゃんだけやで」
と。
随分気持ちの悪い言い回しだ。
当然だけど、周りは「くみこ」の不機嫌の理由など、1ミリたりとも理解していなかった。
親からそんな風に叱られてたのだろうか?お気の毒様。という感じだが、当時の同級生は「くみこ」に嫌われたく無かった様で、必死で答えを探していた。
どうせしょーもない理由なんだし、悩むだけ無駄だよ。って言っても、誰もワタシの言うことには耳を貸さないのだ。
カリスマ性の無さよ。
空気読めって言葉があるけど、ワタシはこの「空気読め」が、反吐が出るほど嫌いだ。
大抵の「空気読め」は、その場の雰囲気を察しろという意味じゃなく、俺の顔色を伺って、俺の気分を察しろ。そして俺の望む通りに動け、俺に恥をかかせるな。だからだ。
質が悪いのは、「みんなが同じ様に感じてるんだよ?そうでしょ?ねぇ?みんな」という、周囲に対する同調圧力でもあることだ。
ますます気持ち悪い。
「俺の顔色や気分を伺って、望む通りに動いてね」と言うと、めちゃくちゃ感じが悪いし、キモーと思われるけど「空気読め」と言ってると、常識的に聞こえるし、みんなの総意(のつもり)なので、自分だけが悪者にならなくて済む。
いわゆる「みんなのため」っていうヤツだ。
ワタシに言わせたら、いや、勝手に仲間にしないでもらえます?という話だが、ゆうてる本人が「空気を読めない」から仕方ない。
ワタシは自分なりの良識の元行動しているので、葬式に真っ赤なスーツで弔問したりしないし、約束の時間に遅れることもないし、他人が気分を害することは言わない様に努めている。
けど「空気」は読まないし、読めないし、読みたくもないのだ。
そもそも、ワタシに関わらず、誰も他人の顔色や気分を察してやる義務はないし、誰も他人に顔色や気分を察してもらう権利もない。
そして自分の常識は他人の常識ではないし、自分の考えは、世間の総意でもないのだ。
仮に察して貰えなくて恥をかいたと思うなら、それは自分が相手より立場が上だと思っている証拠だ。
もっと謙虚に生きればいいと思います。
因みに風の噂によると、くみこは数年前に結婚し、地元を離れたそうだ。
めちゃくちゃ「空気を読む」彼氏だったんだろうなぁ。。。
ワタシは未だ独身だけど。
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