第288話 その上の場所

文字数 681文字

 しめしめ。あちきが設定した構図通りに、この世は進んでおるわい。笑いが止まらん。もっと笑いたいな。こうしたら、こやつら、こう動くかな。ちょっとこうしてみようかな。

 ああ、この世を動かすことが、こんな愉快なものとは。たまらんよ。思った通りに動く! このあちきの手足となって、この80憶の人間が動く! この愉悦、一度覚えたら、もうやめられん。しかも、あちきだけなんだからね、この特権は。

 面白いものだよ、こやつらの愚行を眺めるのは。不幸なニュースを流せば流すほど、こやつら、慣れていく。「変化に対応できるものだけが生き残る」進化論のあいつも、役に立ったよ。

 最終形態は、どうしようかな。もう、こやつらにも大分飽きたから、そろそろ終わりにしようかな。あやつに、あのボタン、一丁押させてやろうかな。
 阿鼻叫喚、悲惨の極み! なかなか楽しそうじゃないか。

 あちきも人間だからねえ、飽きるんだよ、平和な世界なんて。何の刺激もありゃしない。退屈でね。ゲームの一つでも、したくなるよ。

 しかしこんなうまく行くとは思わなかったな。こうなればいいなぁと、だいぶん希望的観測をふくんだ構図を描いたものだが、ほんとにこうなった!

 やはり想像は創造だった。創造そのものだった。たまらんね、想定通り、時にそれ以上を行く人間の愚劣! 人の不幸は蜜の味。スキャンダルを、こやつら、望んでもいるからな。

 しかしまぁ、そろそろリセットの頃合いかな。いくら不老不死のあちきでも、さすがにこやつらがいなくなったら淋しいかな。生き残ったやつらが、どう動いていくのかも見ものだが。うふふ、どうしようかなあ。
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