第213話 眼(5)

文字数 291文字

 さて、きみは、わたしが分かったかね。
 ── どっちが、わたしだったっけ。

 うん。どっちだったっけね。
 きみとわたしが、たがいに、なくてはならない存在であることは分かったよ。

 ほう。書いて良かったな。毒を、抜いたわけか。
 文学とは、毒を吐くこと、と、えらい作家先生が言っていたよ。

 ふん。文学なんかやってる気もなかろうに。都合のいいことばかり、取り入れて…。読まされた方は、たまったもんじゃないね。読む人がいればの話だが。

 … ま、いっか。好きなこと書いて… あとは、もう。
 さあ、よく眠れるといいね。

 そうだ、まったく、そうだ。春は近いけど、朝が遠くてね。
 おやすみ。
 おやすみ…
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