第124話

文字数 706文字

 やっぱり友達だなぁ、と思った。
 友達がいい、友達だからいい、そんな話でなく。
 

、よかった。ということだと思う。
 もう何十年、描き続けているのか。
 

の絵でなく、自己の地面に足を踏みしめて描いているようだ。
 すごいことだと思う。そして今だに、描き続け、描かねばならないものを抱えているという。
 なんで描いてるんだろ、とか思わない?と訊けば、思わない、と。
 描かざるをえないものを抱えているからだ。

 晴天の下、ひと駅歩き、タバコの吸える喫茶店へ。
 フツーのテーブルで、フツーに灰皿があり、フツーに吸えた。分煙も何もない。いい喫茶店だった。
 再び、ひと駅歩いて、電車に乗って、やはり「タバコの吸える喫茶店」へ。そこでは、「一人五本まで」という、謎の喫煙本数限定。でも、貴重な、堂々と吸える、分煙も何もない喫茶店。
 気づいたのは、こうやって喫煙が解放されると、みんなマナー良く大人しい感じで、気持ちのいい場所だったということ。
 喫煙者に厳しい世界、こういう場所のありがたさを、みんな身に沁みて知っているから、自然にマナーが良くなる感じがする。

 うまれて初めて「チャイ」を飲んだが、美味しかった。
 おたがい、五本ずつ吸い、帰路へ。
 いっぱい喋った。そして「通じる」、通じ合うものが、やはりあると感じた。微妙な話── なかなか、ちょっと考えれば分かるような話、その「ちょっと」のところが分かり合える、かのようなもの。
 何かを表現、かたちにしようとする、という微妙な心根の接点のようなものが、かすかに、でもまるで確かみたいに感じられるのが嬉しい。

 ノン・アルコールで、楽しかった。
 ありがたい時間を、ありがとう。
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