第386話

文字数 626文字

 義理のきょうだいの親の死… ぼくはその人と三回しか顔を合わせたことがなく、話も二言三言しか交わしていない。でも、その人となりはわかった。とても善い人だと、それだけが深く印象に残っている。
 老衰… 肺炎を引き起こしたなどといっても、100歳だ、あっぱれだ。まして兄が40年、一緒に生きたお嫁さんのお母さん、その人を産んでくれたお母さんだ。
 きのう兄からその連絡を受け、最後に会ったのは10年前だったことを思い出す、ぼくの母の通夜の時だった。
 兄も、べつに告別式に参加しろ、などといわない。ただ亡くなった、という報せだ。
 去年の10月に義姉が亡くなって、葬式や通夜でそのご兄弟と初めて親しく話せた。その人たちのことも気になった。できれば参加したい、でも奈良と東京、遠すぎる…近くだったら絶対行く。
 香典、立て替えて渡しておきましょうか、と兄。悩んだが、そうして頂くことにした。来月どうせ関東(ぼくのパートナーの実家)に行く予定がある、その時お返しします。
 気持ちが落ち着いた。何かしたかった。香典、気持ちの表れだ、表すことができると、落ち着くものだ。
 もしあの世があるとしたら、お母さん、お義姉さんを見てびっくりしてるかな、なんであなたここにいるの、って。でもお義姉さん、お母さんと会いたがっていたから。
 お墓なんて関係ない。たぶんあの世もひとつだ、この世がひとつであるように。しかし、ほんとうに死ってやつは! 許せない、どうしようもない気にさせられる。
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